天の涯 ポーランド秘話

女帝エカテリーナの愛人がポーランドの国王に任命された。世襲制ではなかったからだ。ポーランド王には仏王、英王を兼ねたものもおり、ポーランドの豊かな土地は周囲から狙われ続けていた。

特に凍らない土地を狙うロシア、新興国プロイセン、革命後のフランスは新しい土地を渇望していた。

エカテリーナの愛を信じるポーランド王と、冷酷なほど実利的なエカテリーナの関係が面白い。

主人公はポーランド王の甥、後にポーランド独立運動の英雄であるユーゼフである。

ザクセン人の父、ロシア人の母、オーストリア人の義理の母を持ちながら、ポーランドを愛し、祖国のために戦った彼の一生を幼少期から、死の瞬間まで辿った物語だ。

民族のアイデンティティ、祖国とはなにか、日本人だとあまり直面しない問題である。

一度亡くなり蘇ったポーランドという土地に興味を覚えた。