浅葱色の風 里中満智子
田舎の道場から、近藤のことがただ好きだからという理由で京都までついて行った沖田。時代に翻弄され、厳しくなっていく新撰組の規律を守るため、道場時代の先輩や後輩を制裁することに疑問を覚えてくる。次第に健康を蝕まれ、独白する。
僕の目標ってなんだろう。剣が強くなりたかった、姉さんに心配をかけたくなかった、おまつちゃんをしあわせにしたかった。
いまは、いまは健康になりたい。
医院で出会った女性との儚い恋、
わたしの命、全部あげるから長生きしてね
と言い息をひきとった。
そんな中同い年の元隊員に制裁を加えなければならないことが分かった時の独白が素晴らしい。
だれのために生きてるのかと問われれば、愛する人のために、と答えたい
なんのために生きてるのかと問われれば、信じる道のために、と答えたい
作者が自身の健康を害し、死を意識した時に病院の外へ出て抜けるような青空を見た時に、総司を身近に感じて書き上げたものだという
生きとし生けるものへの愛おしさが満ち溢れた作品だ