キズがあっても海に入る方法
早朝、足の痛みで目が覚めた。
猫が私の下腿を足場にして運動会をしたらしい。
10cmの縦のキズができて、一部真皮下に至り、じわじわと血が滲んでいた。
こんな時、まずやるべきことは、猫のしつけ、、、ではなくてまずはキズの状況把握だ。
深さ、凶器、汚さ、大きさ、染み出しの量で対応は異なる。
真皮内(じわじわと血が滲む程度)のキズの場合、便利なのがハイドロコロイド包帯。
キズパワーパッドが薄いシート状になったようなもので、少量の進出液を吸って、ふやけて湿潤療法となるのだ。
ただし感染しそうなキズには使えないので注意しなくてはならない。感染のリスクとして、個人的には猫の爪のキズは大丈夫だと思ってる。咬み傷は状況によるだろう。猫の口腔内は犬より菌が多い。ちなみにヒトはもっと多い。
湿潤療法の良いところは、治りが早く傷跡が残りにくいところ、痛くないところだ。
リスクは上記の感染だ。皮膚の細胞が増殖しやすい環境は細菌にとっても住み心地がいいのだ。
ところで、私には問題が1つあった。
翌日海に行く予定だったということだ。
もし、患者さんが私の外来を受診してこのキズを見せながら、「明日海水浴に行くんです」と言ったなら、多分、止めたろう。
でも行きたい。
海なんて何年ぶりだろう。どうしても泳ぎたい。
となると自分の体で試すしかない。
①まずは、ハイドロコロイドを防水テープで補強してみた。
使ったのはオプサイト。透明で薄くて貼っているのも忘れてしまいそうな存在感だが、防水力はしっかりしている。
10cmの長さがなかったので、2枚を隙間なくハイドロコロイドの上に重ねて貼った。
②もう1つのキズはハイドロコロイドのみ。
これも10cm程度の長さだ。
③もう1つのキズは1cm程度。
ハイドロコロイドを1cm四方の大きさで貼ってこれも補強せず。
結果
①は海水浴中も、真夏日に滝へ行ったり牧場で歩きまくって汗を大量にかいても、温泉に入っても剥がれず、塩水がしみることも全くなかった。
②は海水浴、汗には耐えたが、最後の温泉で端っこからふやけて剥がれた。1日キズを守ってくれてありがとう。
③は海水浴中、いつの間にか剥がれ、塩水が浸みて大変痛かった。
一例なので患者さんにはとても勧められないが、再度の追試験が求められるものである。